1. 改正のポイント

(1)趣旨・背景
国外居住親族に係る扶養控除の適用について、所得要件の判定につき国内源泉所得が用いられていることから、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの指摘を踏まえ、適用対象者の見直しを行う。
(2)内容
30歳以上70歳未満の国外に居住する親族のうち、留学生や障害者などを除き、扶養控除の適用対象としないこととする。
(3)適用時期
2023年(令和5年)分以後の所得税について適用される。

2. 改正の趣旨・背景

国外居住親族に係る課題として下記の指摘がなされており、対応を行うものである。

文書 指摘事項/課題 対応
【会計検査院】平成25年度決算検査報告 ①国外扶養親族については、国内扶養親族と異なり多数の親族を扶養控除の対象としているのに適用要件を満たしているか十分な確認ができていないまま扶養控除が適用されている。 平成27年度税制改正において、納税者の親族であることを確認するための「親族関係書類」や納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認するための「送金関係書類」の提出又は提示をする改正が行われた。
②我が国においては国際化の進展に伴い、外国人労働者や国際結婚等が増加しており、これにより国外扶養親族が増加するなど、扶養控除制度創設時と大きく社会情勢が変化している。
平成31年度与党税制改正大綱 国外居住親族に係る扶養控除等の適用については、所得要件の判定において国内源泉所得が用いられており、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの課題があることを踏まえ、所得の少ない親族の扶養による担税力の低下を調整するという扶養控除等の制度趣旨や執行可能性、諸外国の制度とのバランス等に留意しつつ、更なる適正化について検討を行う。 今年度改正で国外居住親族に係る扶養控除の適用について、対象者の見直しが行われる。

3. 改正前の扶養控除の概要

(1)扶養控除の適用対象者
扶養控除の適用対象となる扶養親族は、国内扶養親族・国外扶養親族ともに、その年12月31日の現況において下記の4つの要件のすべてを充足する者が該当する。

①配偶者以外の親族等
②納税者と生計を一にしていること
③年間の合計所得金額が38万円以下(2020年(令和2年)分以降は48万円以下)であること
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

(2)控除額
扶養控除の控除額は、次の年齢及び区分に応じて、それぞれに掲げる金額となる。

年齢 区分 控除額
16歳以上19歳未満
23歳以上70歳未満
一般の控除対象扶養親族(注1) 380,000円
19歳以上23歳未満 特定扶養親族(注2) 630,000円
70歳以上 老人扶養親族(注3) 同居老親等以外 480,000円
同居老親等(注4) 580,000円

(注1)控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の者をいう。
(注2)特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者をいう。
(注3)老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の者をいう。
(注4)同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又は配偶者と普段同居をしている者をいう。

(3)添付書類
国外扶養親族を扶養控除の適用対象とする納税者は、納税者の親族であることを確認するための「親族関係書類」や納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認するための「送金関係書類」の提出又は提示が必要となる。

4. 改正の内容

(1)原則
扶養控除の適用対象者から、日本国外に居住する親族のうち30歳以上70歳未満の者が除外される。

(2)例外
上記に関わらず、下表のいずれかに該当する者については、扶養控除の適用対象者となる。

対象者 提出又は提示が必要な書類(注1)
① 留学により非居住者となった者 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した留学の在留資格に相当する資格をもって在留者であることを証する書類
② 障害者 障害者控除の要件に従う(注2)
③ その居住者からその年における生活費又は教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者 送金関係書類(注3)でその送金額等が38万円以上であることを明らかにする書類

(注1)上記①又は③に該当する者について、扶養控除の適用を受けようとする居住者は、給与等若しくは公的年金等の源泉徴収、給与等の年末調整又は確定申告の際に、親族が上記①又は③に該当する者であることを明らかにする書類を提出又は提示する必要がある。
(注2)扶養控除の適用を受けようとする場合に新たに提出又は提示が必要となる書類はないが、障害者控除の適用を受けるために親族関係書類(戸籍の附表又はパスポートの写し等)及び送金関係書類(注3)の提出又は提示が必要となる。
(注3)送金関係書類とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度行ったことを明らかにするものをいう。
・金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類(外国送金依頼書の控え)
・いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類(クレジットカードの利用明細書)

【扶養控除対象者(年齢別(※1))】

扶養親族の居住地 ~15歳 16歳~29歳 30歳~69歳 70歳~
国内 × ×
国外 × ○→× (※2)

(※1)その年12月31日現在の年齢で判定
(※2)留学生、障害者又は38万円以上の送金を受けている者で一定の書類を提出又は提示した者を除く

5. 適用時期

2023年(令和5年)分以後の所得税について適用される。

©2020 Yamada Zeikai All Rights Reserved.

税制改正トピックス

税理士法人山田&パートナーズの税制改正速報解説をご覧ください。

税制改正最新情報

税理士法人山田&パートナーズから税制改正の最新情報をお届けします。ニュースレターへご登録ください

page top page top
We use cookies to personalize content, to provide social media features, and to analyze our traffic. We also share information about your use of our site with our social media, advertising, and analytics partners. For more information, please review our Privacy Policy. By using this site, or clicking “Ok”, you consent to the use of cookies.