2022.12.12

 国税庁は、「令和3事務年度における法人税等の調査事績の概要」を公表しました。これによりますと、大口・悪質な不正計算が想定されるため調査必要度が高いとされた4万1千法人(前年度比+63.2%)に実地調査した結果、総額6,028億円(同+14.0%)の申告漏れが発見されました。いずれも前年度と比べると数字は増加していますが、1件当たりの追徴税額を見ると570万1千円(同△27.0%)と減少しています。

 業種別にみると、不正発見割合の高い業種では、「その他の道路貨物運送」が32.8%とワースト1位となりました。次いで「医療保健」31.2%、「職別土木建築工事」29.6%の順となっています。

 1件あたりの不正所得金額が大きい業種では、1位は「情報サービス、興信所」7,289万円、次いで「自動車・同部品卸売」6,472万円、以下「鉄鋼製造」6,370万円、「運輸附帯サービス」5,538万円、「その他のサービス」5,296万円と続いています。

 また、国税庁では、調査を行うにあたり、見過ごすと申告納税制度の根幹を揺るがすことになるため、事業を行っているにもかかわらず申告していない法人、無申告法人に対して積極的に調査を実施しました。調査件数は1,482件(前年比+4.7%)で、90億6千1百万円(同+76.2%)を追徴しています。そのうち、稼動している実態を隠し、意図的に無申告であったものが326件(同+17.3%)あり、法人税約63億2千2百万円(同+91.1%)の追徴課税をしました。

 国税庁では主な不正の手口として、代表者名義の預金口座に売上代金を売り込ませることで取引を隠蔽した事例を紹介しています。

出典:国税庁「令和3事務年度における法人税等の調査事績の概要」

 主な調査事例として、(1)人材派遣業で得た収入について、代表者名義の預金口座に売上代金を振り込ませることで取引を隠蔽(追徴税額約9千万円)、(2)不動産業で得た収入について、取引に係る書類を破棄することで取引を隠蔽した事例(同約4千万円)を紹介しています。

 国税庁では、「無申告は、申告納税制度の根幹を揺るがすことになる」として、資料情報の更なる収集・活用を図り、積極的に調査を実施するとしています。

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