2008.11.10 法人税
福岡国税局から申告漏れを指摘され、4億4700万円を追徴課税された電力会社の関連会社が「見解の相違がある」と異議申し立てをしていた問題で、同国税局が同社の主張の一部を認めていたことが分かったという報道がありました。
同社は、同国税局の税務調査で、工事の完成時期がずれ込んだ売り上げを次年度に計上したことなどを申告漏れとされましたが、「意図的ではない」などとして今年5月末に異議申し立てを行っていたところ、同国税局から再調査の結果、異議を認めるとした通知が送られてきたそうです。
異議申し立ては、税務署長等の行った更正や決定、滞納処分などについて不服があるときに、これらの処分を行った税務署長等に対して不服を申し立てる場合の手続きです。税務署長等の処分に不服がある場合、いきなり訴訟を起こすのではなく、原則として、まず、異議申立てを行います。その異議申立てに対する決定に、なお不服があるときは、国税不服審判所長に対して審査請求をし、審査請求に対する裁決に不服があるときに、裁判所に対して訴えを提起することができます。つまり異議申し立ては税務訴訟の前手続きですから、本ケースでは、税務訴訟に至る前に国税側が自らの主張を引っ込めたことになります。
同社には、追徴課税額のうち、2億~3億円程度が返還されるとみられますが、異議申し立てを認めて追徴課税が返還されるのは珍しいケースです。最近の税務訴訟において、国税側が敗訴し、利子に相当する還付加算金を加えた金額を企業側に返還するケースが目立っていることから、本ケースのように異議申し立ての段階で精査するケースが増えるかもしれません。