2008.11.25 税制改正
政府税制調査会が21日の会合で、09年度税制改正答申の原案を固めたという報道がありました。
答申の原案では、相続税の課税方式について「遺産取得課税」方式への変更を求めています。政府では、09年度税制改正に向けて、亡くなった人の遺産総額をもとに課税額を決める従来の課税方式から、相続人ごとの遺産の受取額をもとに決める「遺産取得課税」方式への変更を検討してきました。しかし課税方式を変更すれば、これまで課税されていなかった人にも税金が課される可能性があり、世界経済が悪化している今のタイミングでの相続税改革は難しいとの見方から、自民党税制調査会小委員会でも「いま課税方式を変える意味があるのか」との意見が出たそうです。政府税調でも「変更を急ぐべきではない」という意見がありましたが、答申では課税方式の変更を求める内容に落ち着いたようです。その背景には、中小企業の後継者の相続税を優遇する事業承継税制が10月から始まり、遺産総額に課税する現行方式では後継者以外の親族まで税負担が軽減される恐れがあるためと考えられます。
政府税調は28日に正式に答申を取りまとめ、首相に提出する予定です。相続税の課税方式改正に関する議論の行方が注目されます。