2012.04.09 法人税  国際課税 

国税局が、大手製薬会社の異議申し立てを認め、約570億円の還付をすることを決定したという報道がありました。
同社は、06年6月に国税局から移転価格税制の適用による申告漏れを指摘されました。移転価格税制とは、国内企業と海外の関連会社との取引において、その取引価格が、関連のない企業との取引価格に比べ、不当に安い又は高いなどの理由により、国内で課税されるはずの所得が圧縮されたと国税局が判断した場合に適用されます。その場合、通常の取引と同じ価格で計算しなおして課税されます。同社は、アメリカの合弁会社に対する販売価格が低すぎるとして追徴課税され、翌月に全額を納付した上で、異議を申し立てていました。
移転価格税制の適用による追徴課税に納得のいかない場合、異議を申し立てるとともに、国税庁に日本と海外関連会社の所在国の「相互協議」を申し立てるケースが多くあります。同社も異議を申し立てるとともに、日米間の相互協議を申し立てましたが、成立しなかったため、11年に異議申し立てを再開していました。国税局への異議申し立ての段階で、これだけ多額の税金に対する異議が認められるのは、珍しいケースといえます。
 
同社は、今回の決定を経ても減額とならなかった部分は、まだ日米で二重課税の状態にあるとして、今後、国税不服審判所への審査請求や訴訟も検討するようです。
 
企業や個人による国境を越えた多様な経済活動により、今後も移転価格税制が問題となるケースは増えそうです。国税庁も、移転価格税制の執行に当たり、納税者の予測可能性を高める観点から、適用基準や執行方針の明確化や事前確認の的確・迅速な処理に努め方針を打ち出しています。

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