2012.03.05 相続税・贈与税 

遺産相続で取得した非上場会社の株式の価値を高く評価され、相続税約50億円を追徴課税されたのは不当であるとして、容器製造会社の創業家の男性らが課税処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁が追徴全額を取り消す判決を言い渡したという報道がありました。
 
容器製造会社は非上場の株式会社で、会社規模は大会社に相当します。報道によりますと、同社が保有する株式の割合が総資産の25%以上であったため、当局は「株式保有特定会社」とみなして、通常より課税額を高く設定する国税庁通達を適用し、約50億円の更正処分と過少申告加算税を課したようです。
 
大会社に相当する非上場会社の株式は、会社の規模が上場会社に匹敵するため、上場会社の株式の評価と均衡を図る必要から「類似業種比準方式」で評価されます。これは、上場会社のうち、評価する会社に類似する業種に属する複数の標本会社を選定し、その業種の株価を基に、評価会社と配当金額、利益金額及び純資産価額を比較対照して株価を算定するものです。
 
一方、会社の規模等は類似していても、会社総資産のうちに占める特定の資産の割合が、標本会社である上場会社に比べ著しく偏った会社については、類似業種比準方式を適用すべき前提条件を欠くことになるとして、その評価方法は別途、通達で定められています。本件において当局は、同社が株式の保有割合25%以上の「株式保有特定会社」に該当するとして通達を適用していますが、その通達の合理性が争われたようです。
 
裁判長は、この通達が90年に発遣された後、97年に独占禁止法が改正され、持ち株会社が一部容認されるなど状況は変化したと指摘しています。その上で、資産に占める保有株式の割合が25%以上という条件だけではなく、他の事情も総合考慮すべきであり、通達の一律適用に合理性はないと判断しています。上場会社に匹敵する事業実態のある同社に対して、株式保有割合が25%以上という理由で一律に通達を適用して株式を評価すべきではないと判断したようです。
 
本件は地裁判決ですので、当局が控訴しますと、高裁や最高裁で判決が逆転する可能性もあります。通達が改訂される可能性もありますので、今後の動向には注意が必要です。