税のトピックス

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大震災で路線価に「調整率」 被災地域は7割超の下落に

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる平成23年分の路線価に、東日本大震災による被災地の地価変動を加味した「調整率」を公表しました。路線価に調整率が適用されるのは、  1995年の阪神大震災に続いて2回目です。

路線価は、相続税や贈与税を計算する基準となる土地の評価額で、国税庁が毎年1月1日の時点で算定します。そのため、7月1日に公表した今年の路線価には、東日本大震災による地価の下落は反映されていません。そこで国税庁は、震災の被害が大きかった青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7県全域と、埼玉県、新潟県、長野県の一部の10の県で、被災地の実情に合わせて、震災特例法に基づき、震災発生直後の評価で地域ごとに路線価を調整する「調整率」を決めました。7月1日に公表した路線価に調整率を掛けた価格が、相続税や贈与税を計算する際の「土地の時価」になります。

「調整率」は、大きな災害で地価が短期間に著しく下がった場合、実情に合わせて土地の相続税や贈与税の負担を減らすために算定されます。国税庁は、阪神大震災でも調整率を調査した財団法人に地価評価を委託しました。委託された法人は、地価下落について▽津波などによる建物などの損害▽水道や電気など社会インフラの被害、▽人的被害やそれに伴う経済活動の縮小・低迷、▽液状化等によるイメージの低下の4つの要因を基準に調整率を算定したようです。

今回、調整率が一番低い、すなわち路線価が最も大きく下がったのは、津波で住民に多くの犠牲者が出た宮城県女川町で、調整率は0.2、元の路線価より80%低くなります。また、宮城県東松島市と南三陸町などは調整率0.25、岩手県釜石市や陸前高田市、福島県いわき市や相馬市などは、調整率0.3です。このほか液状化の被害が大きかった千葉県浦安市は、イメージが低下したとして調整率0.6、元の路線価より40%引き下げられました。阪神大震災時の路線価が最小となる調整率は0.75だったため、液状化地域でも阪神大震災を上回る下げ幅となっています。

一方、福島第1原発周辺の警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域(解除)に指定された市町村の一部については、「調整率を定めるのが困難」として実質的なゼロ評価となっています。現地調査もできず、売買事例も把握できなかったことが背景にあります。国税庁は「あくまで相続、贈与税申告の目安として最大限低くした」と説明しており、土地の価値を0円と判断したわけではないとしています。

今回の調整率は、震災発生の3月11日以降に申告期限が到来するケースが対象になります。既に申告済みの場合には、税務署に「更正の請求」をすることにより、税の還付を受けることができます。

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