2006.10.30 その他
ストックオプション(自社株購入権)で得た利益の申告を巡り、外資系企業の元役員が過少申告加算税の課税取り消しを求めた訴訟で、最高裁は24日、課税処分を取り消す判決を言い渡しました。判決では、「納税者の責任とすることはできない客観的な事情があり、過少申告加算税を課すのは不当又は酷になる」として課税を認めた2審判決を破棄しています。
ストックオプションで得た利益について、国税当局は当初、一時所得での申告を認めていましたが、98年に給与所得に見解を統一すると、さかのぼって追徴課税をし、一種のペナルティーである過少申告加算税を課しました。この課税上の取扱いの変更が、02年に通達が出るまで法改正等で周知されなかったことから、裁判では過少申告加算税の課税の適否が争点となっていました。
この判決で、国税当局が課税の取扱いを変更する際には、法令の改正や通達で納税者に周知すべきことが示されました。課税のルールは納税者に明確にすべきとする判決のスタンスは、今後の税務行政にも影響を与えそうです。