2023.01.17 海外デスクレポート 

業績不振等で撤退を検討される際にM&Aによる買収のマッチングも難しい場合には、現地ベトナム法人の清算を余儀なくされるケースがあります。ただし、ベトナムにおいて法人の清算は、各行政機関との対応が複雑で、詳細な取り扱いが定められていないことも多く、時間を要するケースが多いという問題があります。

一般的な清算決了までの流れと留意点は以下の通りです。

(1)解散決定に関する決議、新聞等による告知
一人社員有限責任会社で社員総会を設置している場合は社員総会の普通決議、会長職を設置している場合は会社所有者の決定が必要です。なお、二人以上社員有限責任会社の場合は、出席社員の75%以上の賛成による決議、株式会社の場合は出席株主の65%以上の賛成決議が必要です。

(2)関係機関及び関係者への通知
解散決議後7営業日以内に解散決定議事録を管轄機関、債権者・債務者、従業員に提出します。

(3)財産処分及び債務の弁済
雇用契約の終了や未払い賃金の清算、社会保険登録の閉鎖などの労務関係、固定資産の処分や不動産賃貸借やサプライヤー等の契約の終了に伴う資産やデポジット関係の清算などがあります。

(4)税務調査、清算税務確定申告及びインボイス抹消手続き
税務局の担当官によるスケジュールによるため時間を要する場合があります。

(5)残余財産の送金、銀行口座の閉鎖、税コードの抹消、社印の返却
残余財産がある場合、株式や持分割合に応じて分配を行います。

(6)会社清算申請書の提出・承認

上記の通り、税務当局だけではなく、様々な官公庁に対して手続きを行う必要があり、解散準備から清算決了まで2年程の期間を要することもあります。事前に管轄する関係機関に対して手続きの詳細を確認することが重要です。

川越 太介

税理士法人山田&パートナーズ
海外事業部部長 税理士

2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。 現在、ベトナムにおける税務・会計に関するサービスに従事している。 主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価額サポートなどである。

  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。

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