2017.12.13 海外デスクレポート 

執筆:ベトナム担当

はじめに

 9,000万人を超える人口を有するベトナムでは、ここ数年の実質GDP成長率が6%台と経済発展が続いており、日本を含む外国からの投資や進出が活発です。このような堅調な経済成長を背景として今後不動産市場の成長も見込まれることから、最近不動産投資に関するご相談も増えています。
 一方で、外国人や外国組織がベトナムおいて不動産を所有し賃貸事業を行う際には制約があります。本コラムでは、外資による住宅用不動産の取得の可否および不動産賃貸業に係る規制についてまとめます。

1.住宅用不動産の所有について
(1)住宅の所有
 ベトナム住宅法においては、次の者が住宅を取得できるとされています。
 ① 内国組織、世帯、個人
 ② 外国定住ベトナム人
 ③ 住宅法に定める外国組織、個人
 上記③の外国組織、個人とは、具体的には下記の者を指します。
  イ.法令に従ってプロジェクトによる住宅の建築投資をする外国組織・個人
  ロ.非内国企業や外国企業の支店・駐在員事務所等の外国組織
  ハ.ベトナムへ入国できる外国の個人

 なお、上記のイ.~ハ.に該当する者が住宅を所有する場合には、次の要件を満たす必要があります。
  ・上記イ.に該当する場合:プロジェクトに係る投資証明書の取得
  ・上記ロ.に該当する場合:その法人が行う事業に係る投資証明書の取得
  ・上記ハ.に該当する場合:その個人のベトナム入国許可に関するビザ等の取得

(2)住宅の取得方法
 ① 法令に従ってベトナムにおいてプロジェクトによる住宅の建築投資をする方法
 ② 住宅建築投資プロジェクトのアパートメント及び個別住宅を含む商業住宅の購入、購入賃借、受贈、相続による方法
 ①は自らが建築主となって、新たな建物を建設するケースを指し、マンション開発等が該当します。②は、マンションや戸建て住宅などを購入等するケースが該当します。

(3)取得制限
 外国人または外国組織が住宅用建物を取得する場合には、次の利用制限が設けられています。
 ① 法令に従ってプロジェクトによる住宅の建築投資をする外国組織・個人
  ベトナム内国組織、個人等と同様の権利を有する。
 ② 非内国企業や外国企業の支店・駐在員事務所等の外国組織
  共同住宅の総戸数の30%を超えない範囲で所有することが可能である。
 ③ 住宅法に定める外国組織、個人
  共同住宅の総戸数の30%を超えない範囲で所有することが可能である。

 上記のとおり、ディベロッパーなどがマンションなどを建設する場合には制約がありません。一方で、購入等をする場合にはマンション1棟の所有などについては認められていませんが、外国人や外国組織がベトナムに不動産を購入し所有することは可能です。

2.不動産賃貸業について
 個人については、不動産事業法により「非反復的で、小規模なもの」については認められると言及されています。一方、法人については、住宅法において社宅の用に供する場合にのみ住宅取得が可能とされているため、取得した建物を賃貸事業に利用することはできません。

3.不動産譲渡に係る租税公課について

①個人所得税
 個人が不動産を譲渡した場合には、譲渡対価の額に対して2%の課税が行われます。
 また、その個人が非居住者である場合には源泉分離課税となり、譲渡対価の額の2%が源泉徴収されることとなります。非居住者の場合には、源泉徴収によって納税手続きが終了します。

②法人税
 法人の場合には、不動産譲渡については分離課税が採用されることになり、譲渡により利益が出たときは20%の税率で課税がなされます。譲渡により損失が生じた場合には、その他の所得との損益通算をすることができます。
 外国組織でベトナム国内に支店等を有しない場合であっても、ベトナム国内不動産を譲渡した場合には、当該譲渡所得について申告納税が必要となります。
 日本とベトナムの租税条約においても、日本の内国法人がベトナム国内の不動産を譲渡した場合のベトナムでの納税義務を排除していないため、申告納税が必要です。なお、日本の内国法人の場合には、ベトナムで納税した法人税については外国税額控除の適用を受けることができます。

③公証費用
 売買契約を締結する場合には、公証が必要です。取引金額に応じて、5万ドン~7,000万ドン(約250円~約35万円)の公証手数料が発生します。

④登録手数料
 不動産を取得した際には、日本の印紙税に相当する費用として登録手数料が発生します。契約書記載の購入金額又は人民委員会の定めた価額の大きい方を基準にして、0.5%の登録手数料が課せられます。

⑤付加価値税
 建物を購入する際には、非課税である土地使用権の価額部分を除いた建物価額部分について10%の付加価値税が発生します。

おわりに
 ベトナムでは、土地法(2013年改正)、住宅法(2014年改正)、不動産事業法(2014年改正)など、不動産に関する法律が相次いで改正されています。不動産の取得、賃貸等を実施するに際しては、現行の法令及び実務の取扱いに十分に留意する必要があります。


ベトナム担当

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