2022.09.01 海外デスクレポート 

1. 背景

米国時間2022年8月16日に、インフレーション抑制法(IRA)がバイデン大統領により署名され成立しました。当該IRA法は、EVや太陽光パネルの設置など環境に配慮した設備投資に関する減税措置などが盛り込まれた一方で、一部増税や課税強化の内容も盛り込まれています。今回は主な課税強化の内容や影響について解説いたします。

2. 主な課税強化について

①ミニマムタックス(AMT)の導入

  • 概要:損益計算書における調整後のNet Incomeに対して15%を課税。
  • 適用対象:3課税年度において調整後利益が10億ドル以上のC-Corp(外国籍親会社の場合は1億ドル以上)が対象。
  • 適用開始日:2022年末以降に開始する事業年度から適用。

②上場企業の自己株式取得の課税(Excise Tax)

  • 概要:自己株式の取得に対して時価の1%を課税。
  • 適用開始日:2022年末以降の自己株取得から適用。

③IRSへの追加予算800億ドル(10年間)

  • 概要:今後10年間においてIRSへ予算を800億ドル追加。うち660億ドルは雇用、徴税、暗号資産の監視、刑事罰の調査などに利用することで1270億ドルの歳入を増加させる効果を見込んでいます。

3. 影響

今回の課税強化のうち①および②については、原則として大規模な法人を対象にした内容になっており、影響がある納税者は多くないことが予想されます。③について、IRS職員の雇用や徴税の強化に多くの予算が充てられることから、納税者が適正に申告を行う必要性が増すことが予想されます。一方で、還付手続きや証明書の発行の迅速化にもつながることも予想されるため、納税者にとって良い影響を及ぼす側面も期待されます。

田中 大輝

税理士法人山田&パートナーズ
マネージャー 税理士

2015年税理士法人山田&パートナーズ入所。京都事務所にて事業承継のコンサルティングを経験。2016年メガバンクに出向、富裕層に向けた財産承継やファイナンスに関するアドバイスを経験した後、2019年米国に駐在開始。日米の財産承継に関する税務アドバイザリーに従事。

  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。

page top page top
We use cookies to personalize content, to provide social media features, and to analyze our traffic. We also share information about your use of our site with our social media, advertising, and analytics partners. For more information, please review our Privacy Policy. By using this site, or clicking “Ok”, you consent to the use of cookies.