2022.08.10 海外デスクレポート
日本では仮想通貨売買に係る個人の所得課税は最高税率55.945%(住民税、復興特別所得税含む)が課されることもあり、売却時等の税負担を抑えるために海外居住を視野にいれていきたいというご相談を受けることがあります。今回は米国における仮想通貨の税務上の取り扱いをお伝えします。
米国における仮想通貨は原則Propertyとして取り扱うと規定されています。Propertyの取引の損益を認識するタイミングは、主に売買、他の財産との交換とされており、原則的には法人・個人ともに毎年の含み損益を認識する必要はありません。
このPropertyの損益が売買等により実現した場合には、納税者はCapital gainもしくはCapital lossを認識する必要があります。また、このCapital gain / lossは1年以上保有していたかどうかによりLong / Shortに区分されます。
米国居住者に求められる情報開示制度の対象財産としては、現状では仮想通貨は入っておらず、日本の取引所(会社)経由で保有している仮想通貨をIRS[1]に報告する必要は今のところないと考えられています。
一方で米国の財務省(FinCEN)は、今後FATCAに基づく開示およびFBARに基づく開示義務を求めていくという発表をしていますので、仮想通貨の情報開示については制度改正を毎年見直して申告する必要があります。
[1] Internal Revenue Service (IRS):米国の「内国歳入庁」
田中 大輝
税理士法人山田&パートナーズ
マネージャー 税理士
2015年税理士法人山田&パートナーズ入所。京都事務所にて事業承継のコンサルティングを経験。2016年メガバンクに出向、富裕層に向けた財産承継やファイナンスに関するアドバイスを経験した後、2019年米国に駐在開始。日米の財産承継に関する税務アドバイザリーに従事。