生保特約年金への二重課税不当 最高裁で納税者勝訴の判決

長崎市の女性が、死亡した夫の生命保険特約年金に相続税と所得税を二重に課税されたのは不当だとして、国に所得税の課税取り消しを求めた訴訟で最高裁は、控訴審判決を破棄、納税者勝訴の逆転判決を下しました。

相続人が年金形式で受領する死亡保険金は、年金受給権として現在の価値に引き直して評価し、相続税が課税されます。その後、相続人が年金を受け取った際には、受け取った年金から支払った保険料相当額を差し引いた差額を雑所得として、所得税が課税されてきました。

この事件で原告の女性は、「一度、相続税の課された年金受給権が現金化した個々の年金に対して所得税を課税することは、二重課税に当たり不当」と主張しました。一方、被告の国側は、「相続税は年金受給権に課税したものである。原告が支払を受けた年金は、一定期日の到来によって生み出される年金受給権の支分権に基づいて支給された現金で、年金受給権とは異なるので、雑所得として所得税が課税される。」と反論していました。一審の長崎地裁は二重課税になるとして納税者側の主張を認容しましたが、控訴審の福岡高裁では年金と年金受給権は法的に異なり、支分権に基づくものであるから雑所得に該当するとして原審を破棄したため、原告が上告していました。

最高裁は、各支給額のうち被相続人死亡時の現在価値に相当する部分は相続税の課税対象となるため、所得税法9条1項15号が定める非課税所得になると判示して控訴審判決を破棄し、納税者勝訴となる逆転判決を下しました。

判決の効力は原告だけでなく、同様の課税により納税したすべての人に及ぶため、年金払型の保険金から所得税を源泉徴収された人の多くは、払いすぎた分の還付を受けることができます。同種契約は数百万件になるともいわれ、その影響は計り知れません。

国税庁は判決後、ホームページ上で「遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて」を公表しました。具体的な範囲、対応方法については確定しだい、国税庁ホームページや税務署の窓口などにおいて、適切に広報・周知を図っていくこととしています。

該当件数が膨大なため、還付を受けるべき人が還付を受けられるように、生保業界や税理士業界など関係各所が協力する必要がありそうです。

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