会計検査院、消費税の簡易課税制度の検査結果を報告

  会計検査院は10月4日、消費税の簡易課税制度に関する検査結果を、国会及び内閣に提出しました。

 会計検査院は毎年度、決算検査報告意見を国会及び内閣に提出していますが、特に必要と認める事項について、随時、その検査の結果を国会及び内閣に報告することができます。

  今回は、消費税の簡易課税制度について、同制度の適用により益税が発生しているといわれている状況等を踏まえて検査を実施し、その状況を取りまとめたものです。

  簡易課税制度は、課税売上に係る消費税額を基礎として、課税仕入れに係る消費税額を簡易な方法により計算できる制度です。すなわち、課税売上に係る消費税額に、その事業者の事業区分に応じた「みなし仕入率」を乗じて計算した金額を、課税仕入れに係る消費税額として納付する消費税額を計算します。

  簡易課税制度は、中小事業者の事務負担に配慮して、事務の簡素化を図るために設けられた制度ですが、実際は、本則課税による場合の納税額と比較し、簡易課税制度の適用を判断している事業者が多いと言われていました。

  簡易課税制度の適用により納税額が少なくなるということは、消費者が負担している消費税相当額の一部が国庫に納付されず、事業者の手元に残ることになり、いわゆる「益税」が発生します。会計検査院は、益税の発生は国民の消費税に対する信頼を損ねるとして、簡易課税制度の実態について検査しました。

  会計検査院の所見は下記の通りです。
  ア) 簡易課税制度適用者について事業区分ごとにみなし仕入率と課税仕入率の平均を
   比較すると、みなし仕入率が全ての事業区分において課税仕入率の平均を上回っていた。
  イ) 同一の事業者について比較しても、多くの簡易課税制度適用者において、簡易課税制度を
    適用した課税期間の消費税納付率の方が、本則課税を適用した課税期間の消費税納付率
    より低くなっていた。
  ウ) 納付消費税額が低額となっている簡易課税制度適用者の中には、多額の課税売上高を
    有するような規模の大きな事業者も含まれていた。

  検査結果を数値でみると、4699事業者のうち、簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額が本則課税を適用したとして試算した推計納付消費税額より低額となった事業者は3742事業者、金額は21億7647万余円。高額となった事業者は957事業者、金額は2億2712万余円となり、簡易課税制度適用による益税の実態が浮き彫りになっています。

  消費税率が引き上げられれば、益税がさらに増えることが懸念されますが、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」では、消費税率の引上げを踏まえて、みなし仕入率の見直しについて検討し、速やかに必要な措置を講ずることが定められています。会計検査院の検査結果も、今後の検討に影響を与えそうです。

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