政府税制調査会 相続税の増税議論に着手

 政府税制調査会が全体会合を開き、2011年度税制改正で、相続税の増税を検討する方針を打ち出したという報道がありました。

 現在、相続税の課税割合(年間課税件数/年間死亡者数)は4.2%と、いわゆるバブル期以前よりも低い水準となっており、また税収も減少傾向にあります。個々の納税者ベースで見た負担割合(納付税額/課税価格)も4.8%と低下しており、過去最高だった昭和62年(14.2%)の3分の1の水準となっています。

 相続税は、バブル期に、地価急騰により相続税の対象者が急激に広がったことを受け、基礎控除の引き上げや小規模宅地の特例等の拡充といった対象者を抑制する改正が行われてきました。バブル崩壊後も対象者を増やすような改正が行われなかったことから、相続税の課税割合も減少しています。従って、相続税の重要な機能である「資産の再分配機能」を果たしているとはいえない状況です。

 そこで、平成22年度税制改正大綱に「格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指します。」と相続税の改正の方向性が明記されました。

 政府税制調査会は、大綱に記載された課税ベースや税率構造の見直しを中心に相続税の改正を検討し、平成23年度税制改正に織り込む方針です。

 具体的には、(1)相続税の課税対象から除く基礎控除額を縮小し、実質的に増税する(2)税率構造の見直し (3)課税ベース拡大の一環として、死亡保険金等に係る非課税枠の見直し の3つの課題を中心に取り組んでいくようです。

 特に(3)死亡保険金等に係る非課税枠の見直しについては、会計検査院より「高所得者も適用しており、節税目的と思慮されるものも見受けられる」という指摘もあり、懸案事項となっているようです。

 一方、贈与税については、65歳以上の親から20歳以上の「子」への贈与税が軽減される「相続時精算課税制度」の対象を「孫」に拡大する方針との報道もあり、贈与税もあわせて、今後の議論の行方が注目されます。

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