LPS訴訟、名古屋高裁も課税処分取消し

 米国の不動産投資事業で生じた損失を個人の所得から差し引いて申告し、名古屋国税局から過少申告だとして追徴課税などを受けた投資家が国に処分の取消しを求めた訴訟で、名古屋高裁は1月24日、処分を違法とした一審名古屋地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却したという報道がありました。

 報道によりますと、原告は外資系証券会社から紹介されて、アメリカに設立された不動産事業を行う組織「リミテッド・パートナーシップ」(LPS)に出資をしました。

 LPSは、この出資金等を元手に、米国内のマンションを購入し、賃貸事業を行いました。この事業は、開始当初の数年間、マンションの減価償却費が賃料収入を上回り、損失が発生します。原告は、この損失を個人の所得から差し引いて申告していました。

 しかし、同国税局は「LPSは法人に該当するため、LPSの事業から出た損失はLPSの損失となり、個人の所得から差し引くことはできない。」とし、「この事業の仕組みが、租税回避行為にあたるのは明らか」であると認定し、原告に過少申告加算税を含めた追徴課税等をしています。

 これに対し、名古屋地裁の判決は、米国の州法の規定やLPSの運営実態などから、日本の税制上の法人には該当しないと指摘し、「LPSが行った事業による損益は出資した投資家に帰属するため、損失を個人所得と合算して申告することができる」と判断し、課税を取消しています。名古屋高裁でも、法人に該当しないと判断したようです。

 この事業を巡っては、05年10月頃、国税当局が出資した全国の二十数人の資産家らに対し、総額三十数億円の申告漏れを指摘していたことが明らかになり、新聞等で報道されました。投資家の多くは、課税の法的根拠が不明として国税不服審判所に審査請求をし、その後、本件のように裁判まで進み、既にいくつか地裁判決が出ています。

 平成22年12月の大阪地裁では、LPSは法人に該当すると判断、納税者である原告側が敗訴しています。一方、平成23年7月の東京地裁、平成23年12月の本件原審(名古屋地裁)では、法人に該当しないとして原告側が勝訴しており、判決が分かれていました。いずれも控訴されており、大阪高裁・東京高裁の判決の行方が注目されます。

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