2021年2月15日に公開された事業再構築補助金の概要、及び2021年3月17日に公開された事業再構築指針並びに事業再構築指針の手引きに基づき、
最新情報をお届けします。 経済産業省が1兆円超の予算を投じて日本の中堅中小企業の挑戦を応援する、2021年度注目の補助金です。
事業再構築補助金の概要はこちら
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf
事業再構築指針はこちら
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin.pdf
事業再構築指針の手引きはこちら
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf
事業再構築補助金に関するよくあるお問い合わせはこちら
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/qa.html
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す一定の要件を満たす企業に、一定規模の補助金が付与されます。
・ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
・コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で採択します。
1.売上が減っている
・申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。
(任意の3か月は連続している必要はありません。)
2.事業再構築に取り組む
・事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
・事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
・予算額として、令和2年度第3次補正予算で、1兆1485億円が計上されています。
・補助金の公募は、1回ではなく、令和3年度にも複数回実施する予定です。
中小企業
※1(400社限定)
事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員数を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。
中堅企業
※2(100社限定)
以下の要件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠
①直近6ヶ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業
②補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること
③グローバル展開を果たす事業であること
・中小企業の範囲は、中小企業基本法と同様です。
・中堅企業の範囲は、現段階では調整中ですが、資本金10億円未満となる見込みです。
製造業その他: 資本金3億円以下の会社又は従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業: 資本金1億円以下の会社又は従業員数100人以下の会社及び個人
小売業: 資本金5千万円以下の会社又は従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業: 資本金5千万円以下の会社又は従業員数100人以下の会社及び個人
【注1】大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
【注2】確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。
【注3】企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人も支援の対象です。
・本補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。設備費のほか、建物の建設費、建物改修費、撤去費、システム購入費も補助対象です。
・新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象です。
補助対象経費の例
【主要経費】
・建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費、リース費
【関連経費】
・外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
・研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
・クラウドサービス費、専門家経費
【注】「関連経費」には上限が設けられる予定です。
補助対象外経費の例
・補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
・不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
・販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費
事業再構築とは、下記5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。
6.1 新分野展開
6.2 事業転換
6.3 業種転換
6.4 業態転換
6.5 事業再編
主たる業種※3又は主たる事業※4を変更することなく、新たな製品、商品もしくはサービスを製造又は提供することにより、新たな市場に進出することを指します。
製造業の場合
航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手し、5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定している場合
具体的な要件あてはめの例はこちら
都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたが、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入し、3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定している場合
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新たな製品、商品もしくはサービスを製造又は提供することにより、主たる業種※3を変更することなく、主たる事業※4を変更することを指します。
日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合
(参考)日本標準産業分類
【大分類】M宿泊業、飲食サービス業⇒【中分類】76飲食店⇒【小分類】762専門料理店
⇒【細分類】7621日本料理店…7623中華料理店、7624ラーメン店、7625焼肉店…(細分類ベースで事業転換)
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プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合
(参考)日本標準産業分類
【大分類】E製造業⇒【中分類】生産用機械器具製造業⇒【小分類】269その他の生産用機械・同部分品製造業
⇒【細分類】2691金属用金型・同部分品・附属品製造業…2694ロボット製造業…(細分類ベースで事業転換)
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新たな製品、商品もしくはサービスを製造又は提供することにより、主たる業種※3を変更することを指します。
レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンションを経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供することで、3年間の事業計画期間終了時点において、貸切ペンション経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定している場合。
(参考)日本標準産業分類
【大分類】…K不動産業、物品賃貸業…M宿泊業,飲食サービス業…(レンタカー事業は物品賃貸業、ペンションは宿泊業)
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コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定している場合。
(参考)日本標準産業分類
【大分類】…E製造業、…G情報通信業…(データセンターは情報通信業)
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製品、商品もしくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することを指します。
ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく、店舗での営業を縮小し、オンライン専用のヨガ教室を新たに開始し、オンライン専用のヨガ教室の売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している場合。
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健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ、生産性を向上させることを目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進めるとともに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造し、新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している場合。
具体的な要件あてはめの例はこちら
会社法上の組織再編等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことを指します。
※3 「主たる業種」 日本標準産業分類に基づく大分類の産業
※4 「主たる事業」 日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業
事業再構築ごとに要件は異なりますが、重複する要件もありますので、下表にまとめを掲載しております。
下記要件のすべてを満たすこと
・過去に製造又は提供した実績がないこと
・製品、商品もしくはサービスに用いる主要な設備を変更すること
・競合他社の多くが既に製造又は提供している製品、商品もしくはサービスではないこと
・定量的に性能又は効能が異なること
・既存製品、商品もしくはサービスと新製品、商品もしくはサービスの代替性が低いこと
・既存製品、商品もしくはサービスと新製品、商品もしくはサービスの顧客層が異なること(任意)
・新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%以上となること
・新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること
下記要件のすべてを満たすこと
・過去に同じ方法で製造又は提供していた実績がないこと
・新たな製造設備等に用いる主要な設備を変更すること
・競合他社の多くが既に製品、商品もしくはサービスを製造又は提供するのに用いている製造方法又は提供方法ではないこと
・定量的に性能又は効能が異なること
下記のいずれかを満たすこと
・既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの
・非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うもの
・「新分野展開」「事業転換」「業種転換」又は「業態転換」のいずれかを行うこと
補助金の審査は、事業計画を基に行われます。
採択されるためには、合理的で説得力ある事業計画を策定する必要があります。
事業計画は、認定経営革新等支援機関と相談して策定する必要があります。
事業計画に含めるべきポイントの例は以下の通りです。
・現在の貴社の事業環境(強み、弱み、機会・脅威)
・事業再構築の必要性
・事業再構築の具体的内容(提供する製品やサービス、導入する設備、工事など)
・事業再構築の市場の状況、貴社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
・実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
※具体的な審査項目は公募要領に掲載予定ですが、事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性をはじめ、地域経済への貢献、イノベーションの促進などが審査項目となる可能性があります。
申請はすべて電子申請となりますので、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。